私が子どもの頃、キッチンは食卓とは壁を隔てて離れていて、料理をお盆に乗せてせっせと運んだものです。
やがて公団住宅ができはじめると、「ダイニングキッチン」の間取りが流行しました。
シンクやガス台、冷蔵庫のある空間で椅子に座って食事をする。
これって、当時としてはすこぶる現代的な風景だったんですよね。
その後、システムキッチンの発達でキッチンの形はさまざまに多様化し、対面式キッチンが人気を呼ぶとともに、現在ではアイランド型や、円形に弧を描いたものなど、実にさまざまなプランがショールームを賑わせています。
キッチンは主婦にとって滞在時間も長く、調理だけでなく収納やそうじ、食品保存などさまざまな家事が密接に関わっている場所。家を建てるときに、一番ちからが入る場所でもありますよね。
さて、そんなキッチンのプランを立てようと考えると、多くの人はまず、ショールームに足を運んだり、カタログや雑誌などで多くのキッチンを見ることからはじめてしまいがちです。でも、ちょっと待って。

家を建てたいと思う人の多くは、使っているキッチンの設備や家電類は数年から10年近く前のものがほとんど。日本の技術は日進月歩。
ショールームにあるキッチンは、夢のような機能を備えているように見えます。一度にこの刺激に身を投じると、あれこれ目がいって、自分の暮らしが見えなくなってしまいがちなのです。
キッチンは洋服やバッグと違います。これから先、何年もお世話になる。家族全員で使う。だから、その家族のライフスタイルにきちんと合ったものを選ぶ必要があります。どんなに高機能な流行のスタイルであっても、自分たちに似合わなければ意味がないのです。
最新の設備がなくても使い勝手のよいキッチンは作れます。だから、まずは自分たちのキッチンの使い方、調理の傾向や持っている道具など、自分たちの暮らしをよく知るところから初めて欲しいなと思います。


