住宅関連ニュース~住まいの今を伝える~

ヒートショック対策とは?断熱等級6・UA値0.46とWHOの室温基準を解説

ヒートショック対策の結論は、暖房した部屋だけを暖めることではなく、家全体の温度差を小さくすることです。

厚生労働省の人口動態調査によると、家や居住施設の浴槽で亡くなった方は令和3年(2021年)で5,072人でした。これは推計ではなく実数で、うち93.6%にあたる4,750人が65歳以上でした。

WHO(世界保健機関)は2018年の住宅と健康に関するガイドラインで、冬季の室内温度を18℃以上に保つことを「Strong recommendation(強い勧告)」として示しています。

この記事では、厚生労働省・消費者庁・国土交通省・WHOの一次資料をもとに、ヒートショックの仕組み・室温18℃の根拠・断熱等級との関係を整理します。埼玉・群馬・栃木・茨城(東京・千葉は一部)で家を建てる方に向けて、地域の気候データも示します。


【ヒートショックとは?家の中で何が起きているのか】

ヒートショックとは、室温の急な変化によって血圧が大きく上下し、心臓や血管に負担がかかる状態のことです。アルネットホームの公式サイトは「室温の高低差により血圧の乱高下に伴って、心臓や血管の疾患が起こるヒートショック」と説明しています。

起点になるのは、家の中の温度差です。暖房している部屋と、暖房していない浴室・脱衣所・トイレ・寝室との間に大きな差があると、移動のたびに体が急な温度変化にさらされます。

事故が集中するのは入浴中です。消費者庁が厚生労働省の人口動態調査をもとに作成した資料では、家や居住施設の浴槽での死亡は11月から4月の寒い時期に集中し、令和元年(2019年)は1月が最多の937人(65歳以上・発生月判明分)でした。

寒さの影響は入浴時だけではありません。アルネットホームの公式サイトは、室温の高低差による心臓・血管の疾患に加えて、呼吸器系疾患、結露によるカビ・ダニがアレルギーや喘息につながる点を挙げています。健康上の不安がある場合は、住まいの対策と合わせて医療機関に相談してください。

アルネットホームの注文住宅の浴室。白い壁面のユニットバス


【データで見る危険性は?件数・季節・年齢と血圧の実測値】

家の浴槽での死亡は年間5,000人を超える規模です。次の表のとおり、これは推計ではなく人口動態調査に基づく実数である点が重要です。

・実数と推計を分けて読む

ヒートショックの数字は実数と推計が混在しがちです。母集団も算出方法も違うため、区別して読む必要があります。

数値何の数値か実数/推計年次出典
5,072人家や居住施設の浴槽での死亡者数(全年齢)実数令和3年(2021年)厚生労働省「人口動態調査」をもとに消費者庁が作成
4,750人同・65歳以上(全年齢の93.6%)実数令和3年(2021年)同上
3,013人同・80歳以上(全年齢の59.4%)実数令和3年(2021年)同上
約19,000人入浴に関連した急死(病死等を含む全国推計)推計平成24〜25年度の調査厚生労働科学研究(研究代表者 堀進悟)/消費者庁が引用
約17,000人いわゆるヒートショックに関連した入浴中の急死(うち高齢者約14,000人)推計2011年の1年間東京都健康長寿医療センター研究所(2013年12月公表)
出典は消費者庁の資料に基づきます。

約17,000人は2011年という単年の推計値であり、毎年恒常的に確認されている実測値ではありません。約19,000人は「入浴に関連した急死全般」を対象とした別の研究による推計で、両者を1つの数字として扱うことはできません。

・年齢が上がるほどリスクは急に高まる

浴槽での死亡率は年代とともに急に上がります。令和元年の人口10万人当たりでは、65〜69歳で男性5.7・女性2.5、90歳以上で男性52.7・女性23.4でした。全年代で男性が女性を上回っています。65歳以上の死亡者数は平成20年の3,384人から令和元年は4,900人へ約1.5倍に増え、高齢期ほど予防が重要になります。

・室温が10℃下がると血圧はどれだけ上がるのか

国土交通省のスマートウェルネス住宅等推進事業の全国調査では、室温と起床時の収縮期血圧の関係が年代・性別ごとに示されています。この調査の血圧解析は2,902名・1,844世帯に基づき、査読付き国際誌 Hypertension(2019年)に掲載されています。

対象室温が10℃上昇したときの起床時収縮期血圧の変化
30歳男性3.8mmHg 低下
30歳女性5.3mmHg 低下
80歳男性10.2mmHg 低下
80歳女性11.6mmHg 低下
裏返せば、室温が10℃下がると起床時の収縮期血圧は同じだけ上がる関係にあります。年齢が高いほど室温の影響が大きく、80歳女性では11.6mmHgに達します。

同じ調査では、居間・寝室ともに18℃の場合に比べ、居間18℃・寝室10℃では起床時の収縮期血圧がさらに2mmHg高いという結果も出ています。暖房している部屋の室温だけでは足りない、ということを示す数値です。

さらに、朝の居間室温が18℃未満の寒冷な住宅に住む群は、温暖な住宅の群に比べて高血圧のオッズ比が1.57〜1.67倍、心電図の異常所見のオッズ比が1.9倍と報告されています(年齢・性別等で調整済み)。これらは室温と健康指標の関連を示すデータであり、断熱すれば血圧が必ず下がると断定できる性質のものではありません。


【なぜ関東の家でリスクが高まりやすいのか(既存住宅の断熱水準と気温差)】

関東で温度差が生まれやすい理由は2つあります。冬の冷え込みが厳しいことと、国の断熱基準が寒冷地より緩やかなことです。アルネットホームの公式サイトも「関東に多いヒートショック」という表現を使っています。

まず気温です。気象庁の平年値(統計期間1991〜2020年)で1月を見ると、5都市はいずれも東京より低い水準です。

都市(観測地点)1月の平均気温1月の日最低気温の月平均省エネ地域区分
さいたま市(さいたま・アメダス)3.9℃-1.1℃6地域
熊谷市(熊谷)4.3℃-0.4℃6地域
前橋市(前橋)3.7℃-0.5℃6地域
宇都宮市(宇都宮)2.8℃-2.2℃5地域
水戸市(水戸)3.3℃-1.8℃5地域
東京(参考)5.4℃
気温は気象庁「過去の気象データ検索(地点別平年値)」、地域区分は国土交通省告示第265号 別表第10(令和2年7月改正が現行)によります。

次に基準です。断熱等性能等級4(現行の省エネ基準に相当)のUA値基準は、寒冷な1・2地域(北海道など)で0.46以下、関東に多い5・6地域では0.87以下と、同じ等級でも地域によって基準が異なります。

実測でも同じ傾向が出ています。国土交通省の同調査では、北海道の住宅は改修前から居間の平均室温が21℃だったのに対し、3地域以南は16℃でした。寒冷地のほうが室内は暖かい、という結果です。

冬の外気は厳しく、住宅の断熱水準は寒冷地より低い。この組み合わせが、埼玉・群馬・栃木・茨城の住まいで温度差が生まれやすい背景です。

アルネットホームの注文住宅の洗面脱衣室。洗面台と収納扉が並ぶ


【WHOと国が示す室温の基準とは?18℃の根拠】

WHO(世界保健機関)は2018年11月に公表した「Housing and health guidelines(住宅と健康に関するガイドライン)」で、寒い季節の室内温度について18℃を安全でバランスのとれた室温として提案し、これを「Strong recommendation(強い勧告)」に位置づけています。断熱については「Conditional recommendation(条件付き勧告)」です。

勧告の内容勧告レベル
寒い季節の室内温度は、寒さの健康影響から住まい手を守るのに十分な高さであるべき。温帯・寒冷な気候の国では18℃が安全な室温として提案されているStrong recommendation(強い勧告)
寒い季節のある気候帯では、新築住宅に効率的で安全な断熱を施し、既存住宅にも断熱改修を行うべきConditional recommendation(条件付き勧告)
勧告レベルまで書いている記事は多くありません。18℃という数値は「望ましい目安」ではなく、WHOガイドラインの中で最も強い区分(呼吸器・循環器疾患との関連のエビデンスの確実性はmoderate=中程度)で示されている点が要点です。

補足として、18℃という数値は1987年の旧WHOガイドラインの値を引き継いだものであり、国土交通省の資料では乳幼児・高齢者にはもっと暖かい室温が必要とされている点も紹介されています。一律に18℃で足りると単純化はできません。

日本では、国土交通省の同調査でも、朝の居間室温18℃未満の住宅で高血圧のオッズ比が高いという実測結果が出ています。WHOの勧告と国内の実測データが、同じ18℃という線で重なっています。

アルネットホームの注文住宅のトイレ。木目の壁面を用いた空間


【断熱等級と室温の関係は?等級4・5・6で何が違うのか】

断熱等性能等級は、住宅の断熱性能を示す国の基準です。等級ごとに、UA値(外皮平均熱貫流率)の基準値が地域区分別に定められています。数値が小さいほど熱が逃げにくく、暖房を止めた後も室温が下がりにくい設計になります。

押さえるべき事実は2つです。1つは、断熱性能の差が国の基準値として等級ごとに定義されていること。もう1つは、その室温が健康指標と関連することが実測で確認されていること。前章で示した国土交通省の全国調査がそれにあたります。

関東の平野部が多く該当する5・6地域では、等級ごとのUA値基準と極暖の家シリーズの位置づけは次のようになります。

断熱等性能等級UA値の基準(5・6地域)極暖の家シリーズの該当グレード
等級70.26以下極暖の家 Premium(UA値0.26・世界レベル)
等級60.46以下極暖の家/極暖の家 FIT(UA値0.46・北海道レベル)
等級50.60以下極暖の家 Casual(UA値0.56・東北レベル)
等級4(現行の省エネ基準に相当)0.87以下
UA値の基準は国土交通省 社会資本整備審議会 建築分科会 資料2-1、グレードの数値と「世界レベル」「北海道レベル」「東北レベル」の表記はアルネットホームの公式比較表によります。等級4と等級6の基準値の差は0.87と0.46で、およそ2分の1の水準です(0.46÷0.87=0.529から算出)。

・断熱だけでは温度差は消えない

数値上の断熱性能を上げても、隙間があれば設計どおりの性能は出ません。気密性能を示すC値は、1.0以下が高気密の水準、0.5以下が超高気密とされます。極暖の家シリーズは4グレード共通でC値1.0以下です。UA値が設計で決まるのに対し、C値は施工精度で決まり、実際に測らなければ分かりません。

換気も温度差に関わります。極暖の家は第一種熱交換換気システムを採用し、およそ7割の熱を保ちます。アルネットホームはこれを「魔法びん断熱」と呼び、吹付硬質ウレタンフォームとトリプルガラス樹脂サッシで建物全体を包む考え方をとっています。窓についてはアルミだけでできた窓枠を撤廃し、樹脂窓枠を採用しています。

階段と吹き抜けがつながるリビング。アルネットホームの高気密高断熱住宅の室内


【よくある質問(FAQ)とまとめ】

・Q. 断熱性能を上げればヒートショックは防げますか?

「防げる」と言い切れるものではありません。アルネットホームの公式サイトも、ヒートショックのリスクを「低減することができます」と表現しています。断熱・気密・換気で家全体の温度差を小さくすることが、ヒートショックの予防として住まい側からできる対策です。健康上の不安は医療機関に相談してください。

・Q. 冬の室温は何℃を目安にすればよいですか?

WHOは2018年のガイドラインで、寒い季節の室内温度18℃を安全でバランスのとれた室温として提案し、「Strong recommendation(強い勧告)」に位置づけています。ただし乳幼児・高齢者にはもっと暖かい室温が必要とされており、一律18℃で足りると単純化はできません。

・Q. 浴室・脱衣所・トイレだけ暖房すれば足りますか?

部分的な暖房では温度差が残ります。国土交通省の全国調査では、居間・寝室ともに18℃の場合に比べ、居間18℃・寝室10℃では起床時の収縮期血圧がさらに2mmHg高いという結果が出ています。暖房していない部屋も含めて室温を保つ設計が必要です。

・Q. ヒートショックで亡くなる方は年間どれくらいいますか?

実数と推計を分けて見る必要があります。実数では、家や居住施設の浴槽での死亡が令和3年(2021年)に5,072人(うち65歳以上4,750人)。推計では、いわゆるヒートショックに関連した入浴中の急死が2011年の1年間で約17,000人(東京都健康長寿医療センター研究所)と算出されています。

・Q. 断熱等級6とはどれくらいの性能ですか?

断熱等性能等級6は、関東の平野部が多く該当する5・6地域でUA値0.46以下にあたる水準です。現行の省エネ基準に相当する等級4(同地域で0.87以下)のおよそ2分の1の数値です。アルネットホームの極暖の家は、この断熱等級6・UA値0.46を標準仕様としています。

・Q. 今住んでいる家の断熱改修でも意味はありますか?

国土交通省の全国調査では、断熱改修を行った群で起床時の収縮期血圧が平均3.5mmHg、拡張期血圧が1.5mmHg低下したと報告されています(対照群との比較)。WHOも既存住宅への断熱改修を「条件付き勧告」として挙げています。

・まとめ:家全体の温度差を小さくする

ヒートショック対策の要点は3つです。

・家の浴槽での死亡は令和3年(2021年)に5,072人(実数)、うち93.6%が65歳以上
・WHOは冬季の室内温度18℃以上を「強い勧告」として示している
・室温が10℃下がると起床時の収縮期血圧は30歳男性で3.8mmHg、80歳女性で11.6mmHg上がる関係にある

関東は冬の日最低気温が氷点下まで下がる一方で、国の断熱基準は寒冷地より緩やかです。だからこそ、基準を満たすだけでなく、家全体の温度差を小さくする設計が要ります。

アルネットホームの極暖の家は、断熱性能が極めて高い注文住宅です。断熱等級6・UA値0.46・C値1.0以下を標準仕様とし、北海道レベルの断熱性能を関東で実現します。最上位のPremiumは断熱等級7、規格住宅のFITも等級6です。公式サイトはこれを「高性能があたりまえ、すべてが標準仕様」と表現しています。

【関連記事】

断熱等級とは?1〜7の違いと費用・関東の注文住宅で選ぶべき等級を徹底解説
高性能住宅とは?断熱・気密・耐震を兼ね備えた家づくりの基準と選び方
埼玉・北関東で注文住宅を建てるなら断熱性能が最重要な理由・UA値0.46と省エネ地域区分を解説
家が寒い根本原因と新築で解決する方法
省エネ基準適合住宅・ZEH・長期優良住宅の違いと補助金
埼玉県で建てる注文住宅のための土地代・相場と傾向
群馬県で建てる注文住宅のための土地代・相場と傾向
栃木県で建てる注文住宅のための土地代・相場と傾向
茨城県で建てる注文住宅のための土地代・相場と傾向

住宅関連ニュース:カテゴリ一覧

お家づくりはこの一冊から。間取り・
価格が掲載された「プラン集」も人気です!