注文住宅で使用する断熱材

光熱費を削減しつつ、一年中快適な環境で過ごしたい。
そんな方が注目する高気密・高断熱住宅で、断熱性能に大きく影響する建材のひとつが「断熱材」です。聞いたことはあるけれど、実際に断熱材を見たり触ったりしたことはない方がほとんど。

断熱材の役割とは？ウレタンとグラスウールで断熱性能に違いはあるの？
高気密・高断熱な注文住宅に使われる断熱材の基礎知識をわかりやすくご紹介いたします。

【注文住宅に使われる断熱材の役割】

古い木造住宅や古民家を解体すると、いわゆる「断熱材」に相当するものはほとんど使われていなかったことがわかります。天井裏からは屋根材が直接見えますし、壁紙をはがせば柱に打ち付けられた板がむき出しで出てきます。床は畳をあげれば床板と根太があるだけ。
いわば「木の板で囲っただけ」ですから、冬が寒いのも当然です。
北側のジメジメした地面から直接立ち上がっている壁には当然湿気がこもり、カビが生えてしまいます。劣化した木材にはシロアリ被害やひび割れ隙間が生じ、そこから音も漏れるようになります。

こんな「悪影響」から家をまもるのが断熱材です。

断熱材が遮断するのは「熱」だけではなく、湿気や害虫、騒音など暮らしやすさに直結するものにも関係します。



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【断熱材の種類】

快適な住まいに欠かせない断熱材。日本国内だけでも10社以上の断熱材メーカーがあり、素材ごとにさまざまな製品があります。「ウレタン」「グラスウール」と言った断熱材の名前を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

どの断熱材であっても、空気の層を作って外気温と室内の間の熱の伝わりを遮断する仕組みであることに変わりはありません。厚みがあればあるほど当然空気の層は厚くなり、断熱性能は高くなりますが、そのぶん居室空間は小さくなり、原材料費が上がれば建築費は高くなってしまいます。遮音や劣化、火災のリスクなどと比較しつつ、断熱材の施工場所に合わせて適切な断熱材を選ぶことが必要になります。

建築資材としてよく使われる代表的な断熱材は以下となります。

・グラスウール断熱材
・ロックウール断熱材
・インシュレーションファイバー断熱材
・ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材
・押出法ポリスチレンフォーム断熱材
・吹き付け硬質ウレタンフォーム断熱材
・フェノールフォーム断熱材
・吹き込み用セルローズファイバー断熱材

上記に挙げた断熱材のなかで、最も広く普及・利用されている断熱材はグラスウールです。
素材は鉱物（ガラス）を細かく繊維状に加工したもので作られています。ガラスと同じ素材ですから安価であり、持ち運びも軽くて作業性も高く、壁や天井、床など設置場所を選ばず施工技術も問われないとあって普及しました。グラスウールは最も一般的な建材だけあってグラスウールメーカーも複数あり、より高性能なグラスウールも開発されているなど、進歩しています。


また北海道地域での断熱性能基準もクリアする優れた断熱性能を発揮する断熱材として人気があるのが、吹き付け硬質ウレタンフォーム断熱材です。

ポリウレタン樹脂が素材で、発泡剤を加えて施工部分にもこもこと泡のようなものを吹き付けて施工するのが代表的です。接着剤を使用しなくてもしっかりとほかの建材に密着します。断熱性だけでなく、「気密性」を高めるのにも吹き付け硬質ウレタンフォーム断熱材が役立ちます。施工できる業者を選ぶため、グラスウールよりも高価格な断熱材です。

それぞれの素材によってメリット・デメリットがあり、必要性に応じて使い分けます。

【素材以上に重要なことは断熱材の「適材適所」】

とにかく断熱性能の高い素材を使って家全体をすっぽりと厚くくるんでしまえばよい、というわけではありません。

断熱性能評価でも、屋根・天井・壁・床など場所によって必要な熱抵抗値は異なって設定されています。

また、「ピアノを弾きたいから防音性能を高めてほしい」「冬場に多少寒くなったとしても、開口部が広くて景色がよく見える大きな掃き出し窓をつけてほしい」「少しでも開放感があるように、屋根までの吹き抜けを作りたい」など、断熱材の選定や設置方法、価格に影響するご要望をどのようにかなえるかも重要なポイントです。

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